大判錦絵 天保初年(1833-34)頃 全11図が知られるシリーズのうちの1図で、現在の栃木県足利あしかが)市にある行道山浄因寺(ぎょうどうさんじょういんじ)の本堂と茶室の清心亭(せいしんてい)を結ぶ天高橋が描かれています。この橋は、『北斎漫画』七編にも登場します。浄因寺は、栃木県の名勝に指定されており、今でも多くの観光客が訪れています。行道山は、山岳信仰の場として栄えましたが、画面下から雲がわきあがり、切り立つ崖の上に建つ清心亭に雲のたなびく情景は、「くものかけはし」の題にふさわしく、俗世と離れた仙郷のようです。