大判錦絵 天保2年(1831)頃 大野新田は東海道の原宿(静岡県沼津市)と吉原宿(静岡県富士市)の間につくられた新田集落です。東海道のなかで最も富士山に近づく場所で、広がる沼地の奥に富士山を大きく描いています。葦を運ぶ5頭の牛を引き連れる農夫や、背負子(しょいこ)を背負った農婦が、一日の作業を終えて帰路につく様子を描いています。のんびりとした静かな農村の日常のなかに、水辺から飛び立つ5羽の鷺の鳴き声が聞こえてきそうな作品です。