細判錦絵 安永8年(1779) 安永7年(1778)に勝川春章(かつかわしゅんしょう)に入門した翌年に発表した錦絵作品で、北斎の錦絵(にしきえ)デビュー作の1つといわれる作品です。安永8年8月に市村座で上演された「敵討仇名(かたきうちあだな)かしく」で岩井半四郎(いわいはんしろう)が演じた、かしくを描いたものです。勝川派は役者を似顔で描くことで人気を博した流派です。師匠である春章の作品と比較すると、しもぶくれで愛嬌のあった半四郎の姿には、今一歩及びませんが、丁寧に一生懸命描いている様子がうかがえます。