北斎をめぐる美人画の系譜~名手たちとの競演~
- 2025年9月16日(火) 〜 2025年11月24日(月)
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現代では、北斎というと「冨嶽三十六景」をはじめとする名所絵(風景画)で有名ですが、寛政 12 年(1800)の洒落本『大通契語』では、美人画の名手として取り上げられるほど世に認められていました。本展では、美人画の名手としての北斎のルーツと、その画風の変遷に注目します。北斎が浮世絵の世界に足を踏み入れた際に師事した勝川春章も美人画の名手で、「春章一幅直千金」(安永 4 年〈1775〉、洒落本『後編風俗通』)という高い評価を受けていました。北斎は、肉筆画を専門にし、繊細で優美な美人画風を特徴とする宮川長春、その弟子の宮川(勝宮川)春水、そしてその弟子の春章という、美人画の正統の流れに位置づけられます。北斎は、時代によって画風を大きく変化させており、その背景には、当時流行の美人画のスタイルとの密接なかかわりがあります。本展では、宮川長春から北斎に至る系譜の美人画の諸作や、北斎と同時代の浮世絵における名手たちの作品とともに、北斎の作風の変遷を追い、その魅力と美人画の分野における立ち位置を明らかにしたいと思います。