長大判錦絵 天保初年(1833-35)頃 謡曲「木賊(とくさ)」を基にした作品です。「木賊」は、木賊を刈って生計を立てる老人が、さらわれた子どもと後に再会を果たすという筋書きです。月夜の下、木賊を担ぎ、とうとうと流れる川に架かる木橋を渡る老人が描かれています。静寂な雰囲気は、子どもと別れた寂しさを思わせます。さらに湖面にいる2匹の寄り添う水鳥が、一人行く老人と対比的に寂しさを強調しています。