大判錦絵 天保2年(1831)頃 現在の山梨県笛吹市にあった甲州街道の宿場、石和(いさわ)が描かれています。石和は交通の要地として栄え、本図でも早朝のまだ薄暗い宿場町から、ある者は馬や駕籠に乗り、ある者は徒歩で、続々と出立していく様子がみてとれます。富士山の大部分や川にかかる橋はシルエットで表されていますが、朝日を浴びて山頂はほんのりと赤く染まっており、光を浴びて白く輝く笛吹川の姿とともに、旅人達を元気づけたであろう美しく雄大な富士山の姿をとらえています。