大判錦絵 天保2年(1831)頃 現在の渋谷区神宮前辺りにあった隠田村と呼ばれる農村の様子が描かれています。現在は暗渠(あんきょ)となっていますが、当時は隠田村には水田が広がり、隠田川と呼ばれる川が流れ、いくつもの水車が見られました。本図では、車輪の中で運ばれていく水に、車輪からあふれ落ちる水、それがはねるしぶき、水車の動きでかきまわされる水や、水路を流れていく水など、様々な水の表情が描かれています。動的な水と泰然自若とした富士山の対比が面白い1図です。