冨嶽三十六景 常州牛堀 

作品解説

大判錦絵 天保2年(1831)頃
ピーター・モース コレクション 区指定有形文化財(絵画)
現在の茨城県潮来(いたこ)市にあった牛堀村は、霞ケ浦の出入り口にあたり、利根川水運の要地でした。霞ケ浦は風が強いと渡船しにくく、牛堀には多くの風待ち舟が停泊しており、本図の高瀬舟もその1つと思われます。高瀬舟は利根川水運で活躍した大型船で、長旅に備えて舟首付近に板屋根で覆われた炊事場兼寝間が設けられていました。中央の男は、舟から身を乗り出して米のとぎ汁を捨てていると思われ、その音に驚いた白鷺が飛び立とうとする様子が描出されています。

錦絵