大判錦絵 天保初年(1833-34)頃 飛越(ひえつ)の堺とは現在でいう岐阜県と富山県の間です。本シリーズには現存する橋も描かれていますが、この橋は特定できません。橋の下には雲が湧き鳥が飛んでいるので、かなりの高所に吊り橋を渡しているのでしょう。空には雁、山にはつがいの鹿が見えることから、秋の情景と分かります。橋を行く2人の重みで橋がたわんでいますが、頭上に柴を置いて運ぶ女性は、手に風呂敷包みを提げ、荷を負う男性とともに絶妙なバランスで吊り橋を渡っています。