百物語 さらやしき

作品解説

中判錦絵 天保2-3年(1831-32)頃
有名な皿屋敷伝説を題材にした作品です。主人の大切な皿を割ったために殺された下女お菊の霊が、まさに落とされた井戸から現れる場面を描いています。北斎の他にも多くの浮世絵師が皿屋敷を題材に制作していますが、皿を連ねて蛇体(じゃたい)のように首から下を表現した姿は他に見られません。なお、百物語というシリーズ名は、江戸時代に流行した怪談会のことです。現在のところ全部で5図確認されていますが、いずれも独創的で、幽霊・妖怪画の白眉(はくび)といえます。

錦絵