間判錦絵 文化初年(1804-07)頃 唐草(からくさ)模様の枠を持つ洋風風景版画のシリーズのうちの1図です。江戸時代は交通の要所(ようしょ)で多くの船が行き来した本牧(ほんもく)の岬(神奈川県横浜市)辺りを描いたものと思われます。波の両側や周辺の山影には、「板ぼかし」というぼかす部分の版木の角を落として柔らかく表現する技法を使って、うねり上がる大波や盛り上がった山々を立体的に表しています。なお、本作は、現在確認される同図様の中で最も摺りと状態がよいものとして知られています。