作品解説
大判錦絵 天保2年(1831)頃
現在の愛知県豊橋市にあった東海道34番目の宿場、吉田が描かれています。「不二見茶屋」という茶屋が描かれ、女性が指さす先に、青空を背にした富士山の晴れやかな姿がみえます。富士山を眺める女性の後ろ姿も描かれており、女性たちの賑やかな会話が聞こえてきそうです。「御茶つけ」の看板の下には「根元吉田ほくち」とあり、当地の名物であった、火打ち石の火種を移しとる「ほくち」を売っていたようです。煙管で一服する男たちや、草鞋を打つ駕籠舁きの姿とあいまって、旅の風情が伝わります。
錦絵