詩歌写真鏡 在原業平

作品解説

長大判錦絵 天保初年 (1833-35) 頃
満月の夜を渡る雁と、(きぬた)を打つ母子が描かれています。本シリーズでは藍色が印象的に使用されていますが、月にたなびく雲が藍色のぼかし摺りで表され、美しい秋の情景が広がります。在原業平(ありわらのなりひら)は、平安時代の歌人で、墨田区には業平橋や言問橋(ことといばし)など業平にちなんだ橋があります。業平には、本図と一致する歌は残されていないため、制作過程でタイトルに誤りが生じたのではないかという説もありますが、タイトルと絵の関係は謎に包まれています。

錦絵