大判錦絵 天保6年(1835)頃 平安時代前期の歌人である春道列樹の和歌「山河に風のかけたる柵(しがらみ)は流れもあえぬ紅葉成けり」から連想されるイメージを描いた作品です。和歌では川に流れる紅葉が主題とされていますが、本図は木材を切る木挽(こびき)職人に焦点が当てられています。「冨嶽三十六景 遠江山中」にも木挽職人が登場しており、「遠江山中」と同じく材木の下には鋸(のこぎり)を研(と)ぐ職人が描かれています。漁をしていると思われる人のほか、亀を連れた親子が橋を渡る様子も見られます。