大判錦絵 天保5年(1834)頃 越前福井の橋は、足羽川(あすわがわ)に架かる九十九橋(つくもばし)の事です。この橋は、北半分が木造、南半分が石造という珍しい構造の橋として知られていました。北斎も木造部分はスムーズな線で、石造部分は肥痩(ひそう)のある線で描き分け、違う建材で作られていることを表現しています。橋の向こう側にはたくさんの長方形の板状のものが並んでいます。これは漉(す)いた和紙を板に張り付け、天日で乾燥させる作業をしているところで、越前は現在でも和紙の生産地として知られています。