大判錦絵 天保5年(1834)頃 嵐山は、現在の京都府京都市に位置しており、古くから桜と紅葉の名所として知られる風光明媚(ふうこうめいび)な景勝地です。本図で橋の向こうに配されているのが嵐山で、ここでは桜が満開の様子が描かれています。題名の吐月橋は、現在の京都府京都市の桂川(かつらがわ)に架かる渡月橋のことです。渡月橋の上からどこかを眺める2人の人物は桜を見ているのでしょうか。橋を渡り嵐山の方面へ向かう人々や、木や竹を筏(いかだ)にして運ぶ筏流しに励む人々なども見られ、嵐山の春の長閑(のどか)さが描出された1図となっています。