冨嶽三十六景 凱風快晴

作品解説

大判錦絵 天保2年(1831)頃
一説に、河口湖(かわぐちこ)近辺から望んだ富士を描いたものとされています。夏から秋にかけての早朝に、富士山が朝日を浴びて山肌を赤く染めることがあり、その現象を捉えたものと考えられています。夜が明けきってしまうまでの(わず)かな時間の経過を画面上に表現しており、山頂はまだ薄暗がりで、中腹は赤みを増しながら、穏やかな風の中で少しずつ夜が明けていく様子を描き出しています。冨嶽三十六景シリーズの代表的な3図のうちの1つであり、通称「赤富士」の名で知られる著名な作品です。

錦絵