牡丹に胡蝶

作品解説

ピーター・モースコレクション 区登録有形文化財(絵画)
大判錦絵 天保初年(1833-34)頃
黄潰(きつぶ)し」という摺り方で表した黄一色の背景に、繊細な筆致で牡丹の花と蝶を描いています。牡丹は、画面右手から吹く風になびき、蝶も風に翻弄されています。風になびく花だけを大きくアップで捉える描き方は、北斎が一時所属していた琳派や、渡来した中国の画人の沈南蘋(しんなんぴん)から影響を受けた南蘋派の作品にも見られ、その関係性などが指摘されています。いずれにしても風による一瞬の動きを捉えた描写力に、北斎の真価を見ることができます。

錦絵