冨嶽三十六景 駿州片倉茶園ノ不二

作品解説

大判錦絵 天保2年(1831)頃
本図の場所は長らく不明とされてきましたが、近年は、現在の静岡県富士市に位置した中野村の片倉とする説が出ています。なお、本図の茶葉は、稲穂のように黄金色で、円錐形の稲積(にお)も描かれていることから、北斎は伝統的な「耕作図」を参考にしたとする見方もあります。茶摘みや収穫された茶葉の運搬などを行う計37名もの人物を細かく描写し、茶園の人々のささやかな営みと雄大な富士の景色を対比的に表現しています。

錦絵