すみだがわ

作品解説

大判錦絵 享和年間(1801-04)
冬の隅田川を描いています。川にせり出した桟橋に、供を連れた女性が2人、渡し舟を待っているようです。足元には、下駄の歯の跡が残り、雪中の様子がうまく表現されています。この作品を描いた頃の北斎は、摺物と呼ばれる私家版の版画を多く手がけていました。この作品も、錦絵とは異なる淡い色調でまとめられた摺物風の作品です。本図は雪景色ですが、『東都名所一覧』という狂歌絵本には、似た構図で夏景色を描いた図があります。左下にあるのは林忠正(1853-1906)の印です。林は明治期に活躍した美術商で、ヨーロッパに浮世絵を紹介する上で重要な役割を果たしました。

錦絵