百人一首宇波か縁説　藤原道信朝臣

作品解説

大判錦絵　天保6年（1835）頃
平安時代中期の歌人、藤原道信朝臣による『百人一首』の和歌「明ぬれは（ば）くるる物とは知りなか（が）ら猶うらめしきあさほ（ぼ）らけかな」から連想されるイメージを描いた作品です。本図では、歌から連想して、まだ提燈（ちょうちん）の明かりが必要な早朝に道を急ぐ人々の姿が描かれています。吉原で一夜を過ごした男性たちが朝帰りする場面を描いているという説もあります。急ぐ彼らとは対照的に、天秤棒を担ぐ人は、草鞋（わらじ）を結び直すなど、急がずゆっくりと目的地に向かおうとしているように見えます。本図中央の提燈に書かれた「いせさん」は、版元の伊勢屋三次郎を示しています。

錦絵

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