大判錦絵 天保4年 (1833) 頃 霧降の滝は、現在の栃木県日光市男体山(なんたいさん)の麓(ふもと)にあります。2段に分かれて落下する姿が特徴的で、日光東照宮への道すがら多くの人が訪れました。本図には、滝を見下ろす旅人と、見上げる旅人が描かれており、鑑賞者に2つの視点を意識させます。いくえにも分かれて岩間を流れ落ちる水の表現は、滝というよりも1つの巨大な生き物のようで、シリーズ中でも強烈なインパクトを持ち、この表現は渓斎英泉(けいさいえいせん)など後の浮世絵師にも受け継がれていきます。