ダイジェスト1/3
細川さんに聞く江戸時代の鳥文化
細川 :実は江戸時代には、昭和の時代に近いような鳥を飼うブームがありまして、昭和の頃は街ごとに鳥屋さんがあったりして、江戸の狭いエリアで、最大で60軒もありました。当時は出版文化が高くて、鳥の飼育書なんかも出版物として市中に出回っていて、鳥を飼う人はそういう本を自分で買ったり、貸本屋で鳥の飼育書を借りて読んだりして勉強しながら、どうやって鳥を飼育するかと考えつつ、鳥をたくさん飼っている人もいました。
細川 :また、滝沢馬琴が鳥を100羽も飼っていたという話もあります。馬琴は自分で鳥を買いに行ったわけではなく、「先生いい鳥が入りましたよ」と、いくつもの鳥屋が馬琴の家にやってきて、どうっと並べると、順番に「これちょうだい」って買ってるうちにそんな増えてしまったそうです。
山際 :100ってすごい数ですよね。
細川 :しかも自分では世話をしないんです。
山際 :そうだったんですか?!
細川 :一応してはいるんですが、やりきれなくて家族に結構手伝ってもらったり。
山際 :ちょっとたまらないですね、それは。
細川 :もう奥さんとかもキレちゃって、「もういい加減にしろ」って言って…
細川 :まあそんな感じでたくさん売って買えて楽しむことができた時代が江戸時代。プラス、いろいろな飼い方があって、手乗りにして遊ぶとか。当時ははまだセキセイインコとかはいない時代で、ブンチョウとかの生産も始まっているんですが、まだそんなには浸透してない時代です。手乗り文化は平安時代から始まっていて、スズメのヒナを捕まえてきて懐(なつ)かせていました。
山際 :手乗り文化はスズメから始まったんですか?ブンチョウからではないんですか?
細川 :1000年前から、貴族の趣味として始まりました。
山際 :では(スズメを飼うことは)高貴な趣味というか、スズメは今で言うと一般的な鳥ですけれども、それを飼うっていうことは高貴な人の楽しみだったという感じですかね。