企画展《北斎バードパーク》関連 細川博昭 × 山際真穂 スペシャル対談 「江戸時代の鳥ブーム ―北斎一門の描いた鳥」

ダイジェスト2/3
イスカの交差したクチバシ

葛飾北斎「鵙 小薊」
すみだ北斎美術館蔵(後期)
※本図にはイスカが描かれていますが、画中には「鵙(いすか)」と書き込まれているため、作品名にも「鵙」の字を使用しています。
 
山際 :こちらは北斎の版画作品ですが、イスカが描かれておりまして、私はこれを見て、クチバシを交差して描いているのがすごく気になったんですが、実際のイスカはこんなクチバシなのですか。
 
細川 : 実際こんなですね。
 
※動画本編より
 
山際 :クチバシが交差していて食べにくくないんですか?
 
細川 : いや、自分が食べたいものを食べるために、こういうクチバシに進化したんです。他の(北斎ではない江戸時代の)著者の絵でも、ちゃんとクチバシが交差して描かれています。
 
山際 :あ~ほんとだ、交差してる。へぇ~。
 
細川 : …というのは、彼らの主食が、熟したばかりの松の実で、(松の実は)松ぼっくりになるとガチガチですけども、実としてなってるときは柔らかいんです。そして種が奥の方にあるので、この交差してるクチバシを使って、ねじ開けて食べる。そういう鳥です。
 
山際 :なるほど。環境に適応するために進化したのがこのクチバシなんですね。
 
細川 : なので、生まれたときはまっすぐな普通のクチバシなんです。
 
山際 :へぇ~!じゃあ自分で食べていかないといけなくなったときに、(クチバシが)進化して交差していくってことですか?
 
細川 : そうです。
 
山際 :え~、そうなのですか!生まれてすぐは普通のクチバシなのは、(親鳥に)食べさせてもらえるからってことでしょうか?
 
細川 :はい。だから自分が食べるようになると段々(クチバシが)ねじれてきて、「交喙の嘴(いすかのはし)」の言葉どおりに、交差するということです。
 
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