春到来!

 

 新年度を迎え、早3週間が過ぎました。入学や就職などで大きく環境が変わった皆様も、新しい環境に少しずつ慣れ始めてきた頃だと思います。

  天候もまだ寒い日となることがありますが、だんだんと暖かくなり、春らしく心地よい天気も多くなってきました。暖かい日には、外出でもして春を感じたいも のですね。北斎も春にちなんだ題材を多く描き、人々の心を和ませてきました。本日は、その中でも花鳥画の代表作として有名な作品を紹介します。



「牡丹に胡蝶」

 牡丹の開花時期は4月~5月で、まさにこれから見頃を迎えます。花言葉としては「王者の風格」「高貴」「壮麗」などがあり、原産地の中国では、古来から「花の王」として大切にされてきました。

  本図では、咲き誇る牡丹と風によって体勢を崩した蝶が的確に描かれており、森羅万象を生けるがごとく描こうとする北斎の意気込みを感じ取ることができます。本作品に限らず、北斎は独創性豊かな構図や大胆かつ精細な表現方法など、多彩な技術で見る者を圧倒させるダイナミックな作品を数多く残しています。

  生涯をかけて絵師の道を追求し続けた北斎は、まさに「絵師の王」と呼ぶにふさわしい人物といえるでしょう。