北斎花らんまん

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北斎花らんまん

2022年3月15日(火) 〜 2022年5月22日(日)
北斎やその門人たちの作品から、桜をはじめとした様々な花の作品約100点を展観します。
会期
2022年3月15日(火)~5月22日(日)
 前期:3月15日~4月17日
 後期:4月19日~5月22日
開館時間
9:30~17:30(入館は17:00まで)
休館日
毎週月曜日
※開館:3月21日(月・祝)、休館:3月22日(火)
会場
3階企画展示室
主催
墨田区・すみだ北斎美術館
 

 展覧会概要

花は古くから人々に愛され、絵画の主題としても数多く取り上げられてきました。本展では、北斎やその門人たちの作品から、桜をはじめとした様々な花の作品約100点を展観します。花見の対象とされる花、物語に登場する花、意匠として着物や道具に施される花等、生活のあらゆる場面で愛でられてきた花に関する作品をご紹介します。描かれた花々を通じて、花を愛でる文化に親しみを感じていただけましたら幸いです。

展示構成
1章 春の到来 早春の花々/2章 桜 春爛漫/3章 色とりどりの四季の花/4章 暮らしを彩る花の意匠
 

 本展の見どころ

◎ 描かれた花のユートピア
現実では一度に楽しむことが難しい四季の花々。本展では北斎や門人の筆により、桜をはじめ、梅、朝顔、桔梗、椿など前期・後期を通して約35種の描かれた花を紹介。展示室に花のユートピアが広がります。

◎ 北斎や弟子の観察眼
北斎や門人の作品では、花弁や葉の質感の表現や、花脈や葉脈までも緻密に描き込まれています。ディテールの描写や、一瞬を捉える観察眼にご注目ください。
1章 春の到来 早春の花々
厳しい冬が過ぎ、植物が芽吹く頃に咲き出す花々は、おめでたいものの象徴として喜ばれました。1章では、辛夷(こぶし)や梅、木蓮など、春の訪れを告げ、人々に喜びをもたらす早春の花々が描かれた作品をご紹介します。

<梅 開花時期:1月~3月>

 存斎光一「花咲か爺さん」すみだ北斎美術館蔵(前期)

灰を撒く花咲か爺さんの姿が描かれた作品です。花咲か爺さんといえば桜を想像しますが、本図は梅の花が描かれ、灰を撒かれた下側の枝から徐々に開花しています。画面左上には、梅の香りや春の訪れへの期待が詠まれた狂歌が添えられています。
本図は浮世絵版画の中でも商業目的で版元から刊行されたものではなく、プライベートで配るため、仲間内で費用を出し合って発注されたもので、摺物(すりもの)と呼ばれています。
 
2章 桜 春爛漫
古くから人気があった桜は、数ある花の中でもとりわけ多く、絵の題材になっています。江戸時代には、様々な花見の名所が新たに作られ、北斎の作品にも桜を楽しむ人々の様子が多く描かれています。2章では、浮世絵版画や肉筆画(にくひつが)から、花見の名所や物語を紹介いたします。

<桜 開花時期:3月~5月>

 葛飾北斎「冨嶽三十六景 東海道品川御殿山ノ不二」すみだ北斎美術館蔵(前期)

現在の品川区北品川に位置した御殿山は、享保年間(1716~36)以降、江戸屈指の花見の名所でした。北斎の代表作「冨嶽三十六景」にも、花見シーズンの御殿山が描かれています。枝いっぱいに咲く桜は、淡い紅をぼかして摺った後に、色をつけず凸凹をつけることのみで表す空摺(からずり)という技法で沢山の丸い点が施されています。


 蹄斎北馬「朝妻舟」すみだ北斎美術館蔵(前期)

本図は浮世絵の中でも版画と異なり、絵師が絵筆で直接紙や絹に描いた肉筆画です。北斎の弟子の一人・蹄斎北馬(ていさいほくば)によって描かれました。「朝妻舟」と名のつく作品に決まって描かれる柳や白拍子姿の遊女のほかに、本作には満開の山桜が描かれています。花弁が舞い落ちる中、水面に映る遊女の顔は、目のまわりに化粧をしているようです。山桜は日本では古くから自生し、開花とともに葉をつけることで知られ、絵画にも描かれてきました。本図は花弁や葉の一枚一枚、蕾が繊細に描写されています。
 
3章 色とりどりの四季の花
3章では、現代の四季感に基づき、春(3月~5月)、夏(6月~8月)、秋(9月~11月)、冬(12月~2月)に区分し、季節の花々が描かれた作品をご紹介いたします。

<牡丹 開花時期:4月~6月>

 葛飾北斎「牡丹に胡蝶」すみだ北斎美術館蔵(前期)

「冨嶽三十六景」や「諸国瀧廻り」と同じ版元である西村屋与八から出版された、北斎の大判花鳥画シリーズの一図です。強い風に揺られる牡丹と蝶の一瞬が見事に描写されています。ピンク色の牡丹は、花弁の付け根から網目状に広がる花脈が精緻に描き込まれています。



<桔梗 開花時期:6月~10月>

 葛飾北斎「桔梗にとんぼ」すみだ北斎美術館蔵(後期)

こちらも北斎の大判花鳥画シリーズの一図です。赤みがかった色の一重の桔梗、多重咲きの桔梗、青い斑入りの桔梗の3種類が描かれてます。咲いている花のほか、まだ固く閉じている蕾、ほころぶ蕾も描かれています。桔梗の上を飛ぶトンボは、翅の脈や翅の先の黒い模様の縁紋まで細やかに描写されています。


<椿 開花時期:11月~2月>

 柳々居辰斎「五色之内 赤絵南京」すみだ北斎美術館蔵(後期)

赤色を主題にした摺物で、北斎の弟子の一人・柳々居辰斎(りゅうりゅうきょしんさい)の絵に狂歌が添えられています。赤絵南京(あかえなんきん)と呼ばれる、白磁に赤色を基調として絵付された皿を中心に、手前に酒器、奥に紅白の椿の枝が描かれています。葉の緑色が、赤絵と椿の花の赤色を引き立たせています。
 
4章 暮らしを彩る花の意匠
古くから花は意匠化され、着物や道具など、生活の中の身近なものの柄や装飾にもよく見られます。4章では、北斎と弟子が様々な花を意匠化して描いた作品をご紹介します。

<意匠化された花>

 葛飾北斎『新形小紋帳』すみだ北斎美術館蔵(通期)

『新形小紋帳』は、北斎がデザインした小紋染の模様を収めた図案集です。このページでは、花が鶴の形にデザインされおり、それぞれ名前や説明が記されています。右上から藤の舞鶴、花橘舞鶴(右中)、舞鶴の桜(右下)、舞鶴菊の折枝(左上)、舞鶴牡丹の折枝(左中)、水仙の舞鶴(左下)です。
 

 作品リスト

「北斎花らんまん」作品リスト

 観覧料

  個人 団体(*)
一般 1,000円 800円
高校生・大学生 700円 560円
65歳以上 700円 560円
中学生 300円 240円
障がい者 300円 240円
小学生以下 無料 無料

*団体でのご来館は、当面の間、受付を行いません。
・中学生、高校生、大学生(高専、専門学校、専修学校生含む)は生徒手帳または学生証をご提示ください。
・65歳以上の方は年齢を証明できるものをご提示ください。
・身体障がい者手帳、愛の手帳、療育手帳、精神障がい者保健福祉手帳、被爆者健康手帳などをお持ちの方及びその付添の方1名まで、障がい者料金でご覧いただけます。入館の際は、身体障がい者手帳などの提示をお願いします。
・観覧日当日に限り、AURORA(常設展示室)、常設展プラスもご覧になれます。

 オリジナルリーフレット

『北斎花らんまん』リーフレットを、1階ミュージアムショップにて3月15日(火)から販売します。北斎や門人が描いた四季の花々や、意匠化された花の作品をオールカラーで紹介します。(A4縦長・全8ページ)
価格:300円(税込)

 ご来館にあたってのお願い

すみだ北斎美術館では、新型コロナウイルス感染拡大防止への取り組みを引き続き行います。
ご来館の皆さまに、マスクの着用や手指の消毒等のご協力をお願いしています。
館内の人数が上限値を超えた場合は、入場制限を行う場合があります。