北斎で日本史 ―あの人をどう描いたか―

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北斎で日本史 ―あの人をどう描いたか―

2021年12月21日(火) 〜 2022年2月27日(日)
葛飾北斎やその弟子などが日本の歴史上の人物や事件を描いた作品を集めます。紫式部や武田信玄など、どこかで名前をきいたことがある、あの人も登場!
会期
2021年12月21日(火)~2022年2月27日(日)
 前期:12月21日~1月23日
 後期:1月25日~2月27日
開館時間
9:30~17:30(入館は17:00まで)
休館日
毎週月曜日、年末年始(12月29日~1月1日)
※開館:1月2日(日)、1月3日(月)、1月10日(月・祝)
 休館:1月4日(火)、1月11日(火)
主催
墨田区・すみだ北斎美術館
 

 展覧会概要

本展では日本の歴史に焦点をあて、葛飾北斎やその弟子などが歴史上の人物や事件を描いた作品を集めます。主に高等学校の日本史の授業で習う人物や事件を軸にしますが、当時の歴史観に基づき神話の時代から安土・桃山時代、そして北斎の生きた江戸時代の歴史的事象を描いた作品、弟子の描いた明治時代の錦絵までを展示します。紫式部や武田信玄など、どこかで名前をきいたことがある、あの人も登場しますので、今までイメージしていた人物像と比べながら、北斎を身近に感じていただけると幸いです。

展示構成
|神話の時代|古墳・飛鳥時代|奈良時代|平安時代|鎌倉時代|室町時代|安土・桃山時代|江戸時代|明治時代|
見どころ
1. 北斎や弟子が描いた作品とともに、歴史小説や物語等でも有名な歴史的場面を楽しめます。
2. 北斎や弟子が描いたイメージから、作品が描かれた江戸時代当時の歴史の見方をうかがい知ることができます。
3. 高校日本史で習う歴史用語の解説や、北斎や弟子の作品に描かれているポイントも一部解説しています。
 

 本展のハイライト

コノハナノサクヤビメ
『富嶽百景』の最初のページに描かれた神


 葛飾北斎『富嶽百景』初編 木花開耶姫命(通期)

『富嶽百景』は北斎の富士図を約100図収載した版本で、本図はその最初のページに描かれたコノハナノサクヤビメです。衣服をチリチリとした線で表現するなど、北斎の描画の特徴がみられます。コノハナノサクヤビメは『日本書紀』や『古事記』に登場する神で、富士山麓にある浅間神社の御祭神としてまつられています。
神話の時代
『古事記』や『日本書紀』などに記される神話は、江戸時代には日本の歴史の起源として考えられていました。<神話の時代>では、アマテラスオオミカミ、スサノオノミコトなど、神話に登場する神々などを紹介します。
 

仏教伝来
北斎が描いた仏教伝来の歴史的場面


 葛飾北斎『三国伝来記』(前期)

『三国伝来記』は善光寺(長野県)本尊の由来記の挿絵を北斎が描いたものです。本尊は百済(くだら)の聖明王(せいめいおう)から伝えられた仏像としています。本図は御簾の奥の欽明(きんめい)天皇へ、二人の百済の僧が鳳輦(ほうれん)を捧げている場面です。本尊の仏像は描かれていませんが、鳳輦の中にあると考えられます。 日本史の教科書で習う「仏教伝来」は、公式には百済の聖明王が欽明天皇に仏像や経典を伝えたといわれていることから、本図はまさに日本に仏教が伝わった歴史的場面といえます。

古墳・飛鳥時代
仏教伝来や、聖徳太子、大化の改新など、古墳・飛鳥時代(3世紀中頃~645年頃)に関する人物や出来事が描かれた作品を展示します。
 

一の谷の戦い
城郭の構図や騎馬が連なる表現に注目


 葛飾北斎「浮絵一ノ谷合戦坂落之図」(作品を替えて通期で展示)

本図は平家物語にも登場する「一の谷の戦い」を北斎が浮絵(*1)に描いた作品です。一の谷の戦いでは、源義経は平氏軍の背後に位置する鵯越(ひよどりごえ)の断崖をかけ降りて奇襲し、平氏軍に勝利しました。画面右側には断崖を源氏方の騎馬が連なり駆け降りる様子が描かれています。さらに、城郭には複数の消失点をとった透視図法が用いられています。
*1浮絵:
浮世絵で、遠近法を利用し奥行きを強調した形式のこと。

畠山重忠
一の谷の戦いで、馬を担いで断崖を降りたと伝わる大力・剛勇の鎌倉武士



 葛飾北斎「畠山重忠」(後期)

本図は軍記物語『源平盛衰記』に記された話に基づいて描かれたものと考えられます。 畠山重忠(1164~1205)は、平安・鎌倉時代初期の武士です。当初平氏軍でしたが、後に源頼朝に従い、源(木曽)義仲追討などで活躍しました。北条義時と畠山重忠が登場する版本『星月夜顕晦録』も通期で展示します。

鎌倉時代
源平の合戦も含め、執権となる北条氏などの人物、武家の争いによる社会不安の中で生まれた鎌倉仏教の開祖など、鎌倉幕府の時代(12世紀末~1333年)を描いた作品を紹介します。
 

上杉謙信と武田信玄
北斎が描いた戦国大名の一騎打ち



 葛飾北斎『画本武蔵鐙』下 上杉輝虎入道兼信 武田晴信入道信玄(通期)

本図には、川中島の戦いの名場面として伝わる、上杉謙信と武田信玄の一騎打ちが描かれています。信玄をはじめ、甲州武士について記された軍学書には、“混戦のなか、白手ぬぐいで頭を包んだ武者が馬に乗って刀を抜き、突進して切りつけてきたので、信玄は立って軍配で受けた”と記されています。本図も、騎乗で切りつける謙信と、刀を軍配で受ける信玄の構図など、この記述に近い描き方がされています。

本能寺の変
忠義を尽くした家臣が大きく描かれた本能寺の変



 二代柳川重信『日本百将伝一夕話』十二 本能寺に明智主に逼る(通期)

屋敷の外には信長を急襲した明智の家紋である桔梗紋の旗があり、本能寺に攻め込んでいる様子が表されています。信長の小姓で、信長とともに討死した森蘭丸、森坊丸兄弟が手前に大きく描かれ、右奥に信長が描かれています。

安土・桃山時代
安土・桃山時代(1568~1600年頃)は、応仁の乱後、大名が力をつけ群雄割拠し、そのなかから織田信長や豊臣秀吉が出て全国統一がなされた時代です。守護大名や戦国大名を描いた作品を中心に集めて紹介します。
 
北斎の武者絵版本の傑作!『和漢絵本魁』『絵本武蔵鐙』『絵本和漢誉』
『和漢絵本魁』(わかんえほんさきがけ)、『絵本武蔵鐙』(えほんむさしあぶみ)、『絵本和漢誉』(えほんわかんのほまれ)の3作品には、北斎が描いた武田信玄と上杉謙信のほか、宮本武蔵と佐々木巌流(佐々木小次郎)など、歴史上著名な人物の武者絵が合計約90図収載されています。甲冑を着ている武者でも、様々な身体の動きを自在に描いている点や、画面を見開きで縦に使って迫力を演出する工夫をしているのも見どころです。
 

徳川家康
浮世絵師が江戸幕府将軍を描いた珍しい作品



 二代葛飾北斎「徳川家康束帯座像」(前期)

北斎の弟子・二代葛飾北斎が徳川家康を描いた肉筆画です。浮世絵師が江戸幕府の将軍を描いた作品は珍しく、「恐惶頓首百拝 北斎拝写」の落款からは、敬意をもって描いたことがわかり、当時の人々の幕府への見方を示しています。

江戸時代
江戸時代(1603~1867年)は、徳川家康によって開かれた江戸幕府の時代です。現在からみると歴史的事象である朝鮮通信使など、北斎が実際に見たと思われる事柄も登場します。

*作品は全てすみだ北斎美術館蔵

作品リスト

「北斎で日本史 ―あの人をどう描いたか―」作品リスト

 観覧料

  個人 団体(*)
一般 1,000円 800円
高校生・大学生 700円 560円
65歳以上 700円 560円
中学生 300円 240円
障がい者 300円 240円
小学生以下 無料 無料

*団体でのご来館は、当面の間、受付を行いません。
・中学生、高校生、大学生(高専、専門学校、専修学校生含む)は生徒手帳または学生証をご提示ください。
・65歳以上の方は年齢を証明できるものをご提示ください。
・身体障がい者手帳、愛の手帳、療育手帳、精神障がい者保健福祉手帳、被爆者健康手帳などをお持ちの方及びその付添の方1名まで、障がい者料金でご覧いただけます。入館の際は、身体障がい者手帳などの提示をお願いします。
・観覧日当日に限り、AURORA(常設展示室)をはじめ、全ての展示をご覧になれます。

 オリジナルリーフレット

『北斎で日本史 ―あの人をどう描いたか―』リーフレットを、1階ミュージアムショップにて12月21日(火)から発売します。どこかで聞いたことがある日本歴史上の人物や事件が、北斎や弟子の作品にどのように描かれているのか、一部、歴史用語の解説も交えてオールカラーで紹介します。(A4縦長・全8ページ)
価格:300円(税込)

 ご来館にあたってのお願い

すみだ北斎美術館では、新型コロナウイルス感染拡大防止への取り組みを引き続き行います。
ご来館の皆さまに、マスクの着用や手指の消毒等のご協力をお願いしています。
館内の人数が上限値を超えた場合は、入場制限を行う場合があります。
そのほか詳細は「ご来館のお客様へのお願い」をご一読ください。