展覧会概要
サムライは、江戸時代に生きた北斎にとって身近な存在でした。本展では、源頼朝や徳川家康など名の知れたサムライだけでなく、北斎と門人たちの目に映った江戸市中に暮らす太平の世のサムライを描いた作品も展示します。また、実際にあった戦いや物語の中の戦う場面を描いた作品もご覧いただきます。江戸時代の人々が抱いていたサムライのイメージにふれるとともに、北斎たちによるサムライの姿をご堪能ください。さらに、刀や鑓といった戦いの道具を取り上げた作品も紹介し、刀剣博物館所蔵の「太刀 銘 信房作」(重要文化財)なども展観します。刀剣そのものと描かれた刀剣を見比べて、イメージをふくらませながら北斎の表現力をお楽しみください。
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本展の見どころ
北斎の描く名うてのサムライたち江戸時代に描かれた浮世絵には、平安時代や鎌倉時代、安土桃山時代の名の知られたサムライが描かれたものや、戦いの場面が描かれた挿絵などもあります。本展では、北斎や門人の作品から、江戸時代の人々がかつてのサムライに抱いていたイメージをご紹介します。鎧をまといながら躍動感たっぷりに描かれた人物表現にもご注目ください。
葛飾北斎『絵本武蔵鐙』上
八幡太郎源の義家
すみだ北斎美術館蔵(通期)
北斎と生きた平和な世のサムライたち北斎が生きた江戸時代は、大きな戦いのない平和な世の中で、サムライの活躍する場所や役割もそれまでと比べて大きく変化しました。北斎が活写する、同時代に生きた平和な世のサムライたちの姿をご覧ください。
葛飾北斎『画本狂歌 山満多山』上
すみだ北斎美術館蔵(通期)*
*半期で同タイトルの作品に展示替えをします
北斎の波と刃文の波の共演!!北斎の代表作「冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏」と、濤瀾刃(とうらんば)が特徴的な「刀 銘 津田越前守助広/延宝九年八月日」を並べて展示します。ともに江戸時代に制作され、波の動きを捉えて表現した作品といえます。北斎によって描き出された大波の迫力と、打ち寄せる波がそのまま映されたような刃文の妙をお楽しみください。
*濤瀾刃(とうらんば)…押し寄せる波のような形状をした刃文
上:葛飾北斎「冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏」
すみだ北斎美術館蔵(通期)*
下:「刀 銘 津田越前守助広/延宝九年八月日」
刀剣博物館蔵(通期)
展示構成と主な出品作品
1章 サムライの姿
日本の歴史の中で、平安時代末期の平清盛の政権から江戸幕府が倒れる約700年の間、主にサムライが政権を握ってきました。このうちサムライの性格が大きく変わる時期があります。それは豊臣秀吉により天下が平定され、徳川家康によって江戸幕府が開かれた頃です。平和な江戸時代のサムライは武力として期待されることが少なくなり幕府や藩の政治を担う存在として重視されるようになりました。
本章では、そのような北斎や弟子たちと同時代のサムライの姿と、それ以前の戦乱の世の武力の担い手として北斎たちが描いたサムライの作品をご紹介します。江戸の人々のサムライのイメージの一端に触れてみてください。
江戸市中のサムライ
葛飾北斎『絵本庭訓往来』
すみだ北斎美術館蔵(通期)
旅するサムライ
葛飾北斎「冨嶽三十六景 従千住花街眺望ノ不二」
すみだ北斎美術館蔵(通期)*
北斎が描く凛々しい源頼朝
葛飾北斎『北斎漫画』五編
源頼朝
すみだ北斎美術館蔵(通期)
北斎が描く表情豊かな弁慶
当館初公開
葛飾北斎「美人と弁慶の耳かき」
すみだ北斎美術館蔵(後期)
2章戦いの場面
サムライは自己の戦闘技術を磨き、編成した家臣の武力を用いて戦ってきました。その目的は、家の存続や財産の維持・拡大、政治的・私的紛争の解決のためでもありました。サムライは生死をかけた戦いを繰り返すことで、相手の武力・政治的権力の縮小、滅亡を重ね、最終的に幕府を開いて政権を担う存在となります。武力として家臣を編成するにあたり、主従の信義や、礼節を重んじた自律集団を築いていきます。
本章では、江戸時代の情報に基づいて北斎たちが描いた歴史上実際にあった戦いから、当時の小説である読本などの物語の挿絵として描かれた戦いの場面までをご紹介します。また、サムライは魔を払うという考えもあったことから、怪異との戦いのシーンを描いた作品も取り上げます。
錦絵の武者絵シリーズ
左:「鎌倉の権五郎景政 鳥の海弥三郎保則」(前期)
中央:「楠多門丸正重 八尾の別当常久」(前期)
右:「鬼児島弥太郎 西法院赤坊主」(後期)
いずれも葛飾北斎画、すみだ北斎美術館蔵
源平合戦から屋島の戦い
葛飾北斎『絵本武蔵鐙』下
那須の与市宗高 扇の的のほまれ
すみだ北斎美術館蔵(通期)
江戸時代に起こった事件―忠臣蔵
葛飾北斎「仮名手本忠臣蔵 十一段目」
すみだ北斎美術館蔵(前期)
魔を切る
葛飾北斎『絵本魁』初篇
隠岐の次郎左ヱ門広有内裏に召れ化鳥を退治す
すみだ北斎美術館蔵(通期)
3章サムライの得物
サムライは、刀や弓などの得物(武器)を駆使して戦っています。本来サムライは、弓馬の芸に通じた家柄の者ともいわれ、射芸が重視されていました。実際の戦いでは、楯で防ぎながらの弓矢の射懸け合いからはじまり、すきが生じると接近して鑓(やり)や刀で戦ったと考えられています。江戸時代には、サムライは大小の刀の二本差しが定められ、平和な時代でも武器を携帯しています。 本章ではサムライの象徴でもある刀や弓、他にも鑓や鉄炮などの武器、そして鎧を描いた作品を集めました。刀に関する作品は、刀鍛冶の姿を描いたもの、刀の意匠のデザインを北斎の門人が描いたものに加え、刀や鑓そのものも紹介します。
刀剣類の展示には刀剣博物館の学芸員による解説文がつく点も見どころです。描かれた刀や鑓と実物を見比べて、イメージをふくらませながら北斎の描写力をお楽しみください。
「太刀 銘 信房作」(重要文化財)
「太刀 銘 信房作」(重要文化財)
刀剣博物館蔵(通期)
刀装具のデザイン
葛飾為斎『花鳥山水 細画図式』四編
すみだ北斎美術館蔵(通期)*
*半期で頁替えを行います
刀剣鑑定を生業とし「享保名物帳」の成立にかかわった芍薬亭長根と葛飾派の浮世絵師の交流を示す作品
左:二代柳川重信「三条小鍛冶之図」(前期)
右:二代柳川重信「三作」(後期)
いずれもすみだ北斎美術館蔵
作品リスト
「北斎サムライ画伝」作品リスト
観覧料
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個人
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一般
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1,200円
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高校生・大学生
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900円
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65歳以上
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900円
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中学生
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400円
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障がい者
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400円
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小学生以下
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無料
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*団体でのご来館は、当面の間、受付を行いません。
・中学生、高校生、大学生(高専、専門学校、専修学校生含む)は生徒手帳または学生証をご提示ください。
・65歳以上の方は年齢を証明できるものをご提示ください。
・身体障害者手帳、愛の手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳、被爆者健康手帳などをお持ちの方及びその付添の方1名まで、障がい者料金でご覧いただけます。入館の際は、身体障害者手帳などの提示をお願いします。
・観覧日当日に限り、AURORA(常設展示室)もご覧になれます。
前売券
本展前売券(通常料金の20%引き)を以下の期間で販売いたします。
販売期間:2023年9月20日(水)から12月13日(水)まで
音声ガイド
・利用料金500円(税込)
1階受付にて入館時にお支払いとなります。
・言語 日本語/英語
・音声ガイドをお聴きになる場合は、ご自身のスマートフォンとイヤホンをご用意ください。
※イヤホン、スマートフォンなど機器の貸し出し、販売は行っていません。
公式図録
コンパクトなA5サイズで、本展の出品作品全ての解説とともにお手元でお楽しみいただけます。作品の図版、解説のほか、担当学芸員による論考「北斎の武者絵 ―錦絵の武者絵シリーズと『和漢絵本魁』『絵本武蔵鐙』『絵本和漢誉』について」、コラム「サムライになった北斎の子」も収載。
タイトル |
特別展「北斎サムライ画伝」図録 |
価格 |
2,600円(税込) |
形態/ページ数 |
A5サイズ196ページ |
発売日 |
2023年12月14日(木) |
販売場所 |
すみだ北斎美術館1階
ミュージアムショップ |
お客様へのお願い
ご来館の皆さまに、咳エチケットや手指の消毒等のご協力をお願いしています。
館内の人数が上限値を超えた場合は、入場制限を行う場合があります。
その他詳細は「ご来館のお客様へのお願い」をご一読ください。
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