紙本1幅 享和末~文化初年(1803-05)頃 横兵庫(よこひょうご)という豪華(ごうか)な髪型(かみがた)に結(ゆ)った花魁(おいらん)が、ゆったりと蒲団(ふとん)に寄りかかり、ほととぎすを眺める様子を描いています。花魁の着物の墨彩(ぼくさい)や空の雲の淡彩(たんさい)は、刷毛(はけ)によって描かれており、北斎の迷いのない筆遣(ふでづか)いが感じられます。楚々(そそ)とした宗理(そうり)風の美人であること、賛(さん)の蜀山人(しょくさんじん)(大田南畝(おおたなんぼ))の署名(しょめい)から享和(きょうわ)末から文化初年頃の制作と考えられています。「君ハゆきわが身ハのこる三蒲団 四ツ手(よつで)をおふてなく郭公(ほととぎす)」という叙情(じょじょう)豊かな賛と絵がよく調和しています。