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北斎 グレートウェーブ・インパクト ―神奈川沖浪裏の誕生と軌跡―

2024年6月18日(火) 〜 2024年8月25日(日)
新紙幣採用を記念して、「冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏」がどのような背景で誕生したか、またその図柄がさまざまに利用されてきた軌跡をたどり、海外で「グレートウェーブ」の通称で親しまれる影響、広がりを紹介します。
会期
2024年6月18日(火)~8月25日(日)
※前後期で一部展示替えを実施
前期:6月18日(火)~7月21日(日)
後期:7月23日(火)~8月25日(日)
開館時間
9:30~17:30(入館は17:00まで)
休館日
毎週月曜日
 開館:7月15日(月・祝)、8月12日(月・振休)
 休館:7月16日(火)、8月13日(火)
会場
3階企画展示室、4階企画展示室
主催
墨田区・すみだ北斎美術館

プロローグ 新しいお札になったグレートウェーブ

私たちに身近なお札である一万円券、五千円券、千円券が2004年11月以来、20年ぶりに一新されます。そのうち千円券の裏面には、葛飾北斎の「冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏」が採用されます。財務省によれば、日本を代表し日本人にも馴染みの深い富士山をモチーフとしていること、江戸時代の浮世絵師・葛飾北斎の代表作として知名度も高く、世界の芸術家に影響を与えた作品であることが、採用の理由とされています。プロローグでは、本展覧会のメインテーマである「冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏」と新紙幣の千円券について紹介します。

葛飾北斎「冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏」 すみだ北斎美術館蔵(前期)
「神奈川沖浪裏」は、前後期あわせて3枚展示(前期:プロローグ、第2章 後期:第2章)

【第1章:江戸の西洋ブーム ―海外へのあこがれ】

江戸時代は国を閉ざす「鎖国」のイメージが強いですが、実際は長崎などを窓口として西洋や中国の文化がゆるやかに流入していました。享保5年(1720)の八代将軍吉宗による「洋書輸入の禁緩和」は蘭学発展の大きな契機となり、その影響で浮世絵においては享保年間(1716-36)から西洋の透視図法(線遠近法)を取り入れた浮絵が盛んに制作されるようになりました。北斎も20代から浮絵を手がけており、40代では銅版画や油絵の陰影表現を応用した洋風版画を積極的に制作し、独自の画風を作り上げていきました。「神奈川沖浪裏」にもこうした蓄積が活かされています。本章では、グレートウェーブ誕生の土壌となる西洋の影響を、北斎や門人らの作品を通してお伝えします。

葛飾北斎「覗機関」
すみだ北斎美術館蔵(通期)
※半期で同タイトルの作品に展示替えします。
葛飾北斎「鎌倉の里」 
すみだ北斎美術館蔵(後期)

【第2章:グレートウェーブ誕生 ―その波は、どこから来たのか】

北斎は、数え19歳で役者絵の第一人者である勝川春章に入門し、数え90歳でなくなるまでの約70年間、絵師として活動しました。その長いキャリアの中で、「冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏」を制作したのは70代のときのことです。つまり、デビューから50年の研鑽を積んだ上に、本図が生み出されたわけです。本章では、北斎が影響を受けたと考えられる作品や画派を紹介するとともに、北斎の草創期からグレートウェーブの誕生を経て、最晩年に至る作品を展示し、どのように北斎の描く波が変化して行ったのか見ていきます。

葛飾北斎「賀奈川沖本杢之図」
すみだ北斎美術館蔵(前期)
葛飾北斎『椿説弓張月』続編 巻一 高間礒萩洋中に自殺す
すみだ北斎美術館蔵(通期)
葛飾北斎『富嶽百景』二編 海上の不二
すみだ北斎美術館蔵(通期)

【第3章:グレートウェーブインフルエンス ―その波は、どこへ行くのか?】

「冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏」のインパクトは非常に強く、門人だけではなく、同時代の絵師や出版物にも大きな影響を与えます。その波及力は衰えることがなく、近代、さらに現代アートにまで続いていきます。そして、今回の新紙幣のように貨幣や切手、パスポートといった公共性の高いものから、国内で流通する私たちの生活に馴染み深い商品や世界的に展開するブランドまで、さまざまな製品に使用されます。本章では、グレートウェーブが北斎以後の絵師やアーティストたちに与えた影響、またプロダクトデザインに利用されてきた軌跡をたどります。

1 | 北斎以後の絵師やアーティストたちへの波及

「冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏」の影響を受けた浮世絵師、現代アーティスト、工芸作家らの作品を展示し、グレートウェーブの波及力をたどります。北斎の門人である葛飾北為、幕末の浮世絵師を代表する歌川国芳、その国芳の門人で浮世絵の衰退期に人気を誇った月岡芳年の作品、多方面で活躍されている現代アートアーティストのしりあがり寿氏など、「神奈川沖浪裏」の影響を受けている作品を展示します。

葛飾北為「摂州大物浦平家怨霊顕る図」
すみだ北斎美術館蔵(後期)
歌川国芳「高祖御一代略図 佐州流刑角田波題目」
立正大学古書資料館蔵(前期)
月岡芳年「都岐乃百姿 大物海上月 弁慶」
公益社団法人 川崎・砂子の里資料館蔵(後期)
しりあがり寿「ちょっと可笑しなほぼ冨嶽三十六景 太陽から見た富士山」
すみだ北斎美術館蔵 ©SHIRIAGARI Kotobuki(通期)

 

2 | プロダクトデザインへの波及

「冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏」をデザインとして用いた貨幣や切手など公共性の高い製品から、BE@RBRICKやレゴ® などの玩具、タバコやビール、ポテトチップスといった商品のプロダクトデザインを展示します。また、レゴ®やルービックキューブを用いたアーティストの作品を紹介します。「神奈川沖浪裏」が今なお親しまれ、現在のプロダクトやアートにも使用されている事例等、33点を展示します。

 作品リスト

「北斎 グレートウェーブ・インパクト ―神奈川沖浪裏の誕生と軌跡―」作品リスト

 観覧料

 
個人
一般
1,500円
高校生・大学生
1,000円
65歳以上
1,000円
中学生
500円
障がい者
500円
小学生以下
無料

観覧券については、6月15日(土)より日時指定によるオンライン購入が可能です。
ご来館当日に受付に並ばずにご入館いただけますので、下のリンクからぜひご利用ください。
※販売数に限りがありますので、あらかじめご了承ください
 公式オンラインチケットサイト

*団体でのご来館は、当面の間、受付を行いません。
・中学生、高校生、大学生(高専、専門学校、専修学校生含む)は生徒手帳または学生証をご提示ください。
・65歳以上の方は年齢を証明できるものをご提示ください。
・身体障害者手帳、愛の手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳、被爆者健康手帳などをお持ちの方及びその付添の方1名まで、障がい者料金でご覧いただけます。入館の際は、身体障害者手帳などの提示をお願いします。
・観覧日当日に限り、AURORA(常設展示室)もご覧になれます。

 公式図録

コンパクトなA5サイズで、本展の出品作品全ての解説とともにお手元でお楽しみいただけます。
 
タイトル 特別展「北斎 グレートウェーブ・インパクト ―神奈川沖浪裏の誕生と軌跡―」
価格 2,600円(税込)
形態/ページ数 A5サイズ200ページ
発売日 2024年6月18日(水)
販売場所 すみだ北斎美術館1階 ミュージアムショップ

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