展示構成および本展の見どころ
プロローグ
1章 日本の木版画 その始まり
1-1 人々の祈りを伝えます
1-2 見当の発明 モノクロからフルカラーへ
2章 浮世絵版画をひもとく
2-1 色を分けて摺る 浮世絵版画の作り方
2-2 判型のバリエーション
2-3 浮世絵版画の表現技法 細部に宿る職人技
3章 生活の中に息づく浮世絵版画
3-1 なんでも描く! テーマいろいろ江戸の日常
3-2 こんなものも浮世絵版画です 身近すぎる日常使いの印刷物
4章 時代によって変わる浮世絵版画
4-1 浮世絵版画にみる情報 日本の「今」を伝えます
4-2 浮世絵版画の新たな展開 マスメディアからアートへ
1章 日本の木版画 その始まり
世界的に有名な葛飾北斎の「冨嶽三十六景」シリーズは、複数の色を版木で摺り重ねた木版画です。もともとは墨一色の墨摺絵だった 浮世絵版画が多色摺木版画=錦絵になるまでには、長い歴史があります。まず、江戸時代より前の時代の木版画を1-1でみてみましょう。
1-1 人々の祈りを伝えます
日本の木版技術の始まりは、飛鳥時代(593-710)に中国から伝来した仏教の普及に深く関係しています。平安時代(794-1192)になると、仏教の経典を大量に作るため、木版での摺刷が行われるようになりました。
作者未詳「阿弥陀如来坐像印仏」
すみだ北斎美術館蔵(前期)
1-2 見当の発明 モノクロからフルカラーへ
江戸時代に入り、延宝(1673–81)頃には墨一色の《墨摺絵》が登場し、寛保(1741–44)頃には、版木に《見当》という目印をつけることで、数色を重ねて摺ることが可能となりました。紅や緑、黄色など少ない色数でしたが、大きな進歩です。
2章 浮世絵版画をひもとく
明和2年(1765)、好事家の間で《大小》と呼ばれる絵暦のデザインを競う交換会が流行し、多色摺木版画の技術は飛躍的に向上します。多くの色を重ねた浮世絵版画は、錦の布のように豪華ということから「錦絵」と呼ばれるようになりました。浮世絵版画は、版元・絵師・彫師・摺師の四者が共同で制作したものです。本章では、版を重ねる工程や紙の大きさ、彫り・摺りの技法に注目し、その魅力を紹介します。
2-1 色を分けて摺る 浮世絵版画の作り方
多くの色を重ねて摺る浮世絵版画の制作過程をみていきます。輪郭線を彫った主版と、使われている色ごとに分けた色版があります。
2-2 判型のバリエーション
判型とは、作品の出来上がりのサイズを指します。展示室には大小さまざまな、縦長・横長の作品が並びます。これは、大きな紙を半分、さらに半分と切って使うためです。浮世絵版画は版元が企画・販売した商品であり、紙を無駄にしない工夫が重ねられました。その判型を活かした構図は、絵師の腕の見せどころです。ここでは多様な判型を紹介します。
2-3 浮世絵版画の表現技法 細部に宿る職人技
浮世絵版画には、木版画だからこそ可能になった彫りや摺りの技術がみられます。職人たちが腕を競った技の数々が、浮世絵版画の魅力になっています。
葛飾北斎「雪月花 隅田」
すみだ北斎美術館蔵(前期)
葛飾北斎「新版浮絵浦島竜宮入之図」
すみだ北斎美術館蔵(後期)
3章 浮世絵版画をひもとく
浮世絵版画は情報を発信するメディアでもありました。江戸の人々の身近に存在していた浮世絵版画は、日用品として用いるものにも使われていました。
3-1 なんでも描く! テーマいろいろ江戸の日常
浮世絵は「浮世」=現世を描いた絵です。庶民の身の回りにある、ありとあらゆるものが画題となっています。江戸っ子たちの娯楽であった歌舞伎、推しの役者の顔を大きく描いた大首絵や、地方から来た旅人たちが土産に持ち帰る名所絵など画題は尽きません。
葛飾北斎「覗機関」
すみだ北斎美術館蔵(通期)※1
※1 半期で同タイトルの作品に展示替えをします。
3-2 こんなものも浮世絵版画です 身近すぎる日常使いの印刷物
木版画は印刷技術のひとつであり、庶民が使う日用品も浮世絵師が絵を描き、木版画で作られました。団扇や商品の宣伝チラシ、お菓子の袋なども浮世絵版画で作られています。玩具や、著名人の訃報を知らせる作品などもあります。
葛飾北斎「東叡山御用 御膳海苔所」
すみだ北斎美術館蔵(前期)
4章 時代によって変わる浮世絵版画
庶民に向けて様々な情報を発信してきた浮世絵版画は、明治時代に入り近代化とともに、その役割を新しいメディアである写真や新聞へと徐々に譲り渡します。一方で、失われていく江戸の面影や廃れていく木版画技術を惜しむ声もあり、江戸回顧の気運が高まりました。
4-1 浮世絵版画にみる情報 日本の「今」を伝えます
明治時代に入り、新しい文物や価値観が流れ込んできます。浮世絵版画にも変わりゆく町並みや時代を捉えた作品が登場します。
豊原国周「開花人情鏡 写真」
すみだ北斎美術館蔵(前期)
4-2 浮世絵版画の新たな展開 マスメディアからアートへ
報道の役割も果たしていた浮世絵版画は、事実をありのままに写すことや速報性という面で、写真や新聞にとって代わられます。一方で、写真では表現できないような味わいを活かした木版画の表現技法が登場し、浮世絵版画の新時代が幕を開けます。
小林清親「新橋ステンション」
株式会社原書房蔵(後期)
作品リスト
企画展「北斎でひもとく!浮世絵版画大百科」作品リスト
観覧料
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通常
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団体
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一般
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1000円
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900円
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高校生・大学生
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700円
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600円
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65歳以上
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700円
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600円
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中学生
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300円
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200円
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障がい者
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300円
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200円
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小学生以下
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無料
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無料
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・観覧券については、日時指定によるオンライン購入が可能です。ご来館当日に受付に並ばずにご入館いただけますので、下のリンクからぜひご利用ください。※販売数に限りがありますので、あらかじめご了承ください
公式オンラインチケットサイト
・中学生、高校生、大学生(高専、専門学校、専修学校生含む)は生徒手帳または学生証をご提示ください。
・65歳以上の方は年齢を証明できるものをご提示ください。
・身体障害者手帳、愛の手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳、被爆者健康手帳などをお持ちの方及びその付添の方1名まで、障がい者料金でご覧いただけます。入館の際は、身体障害者手帳などの提示をお願いします。
・観覧日当日に限り、4階『北斎を学ぶ部屋』、常設展プラスもご観覧いただけます。
・団体でのご観覧は事前予約が必要です。団体のみなさまへをご確認ください。
・学校団体、校外学習でのご観覧は事前予約が必要です。学校の先生方へをご確認ください。
・観覧券購入後の変更、払戻しはお受けできません。ただし、不可抗力による休館が発生した場合に限り、払い戻しを行います。
展覧会リーフレット
展覧会の構成に沿って、オールカラーで見どころをたどることができるリーフレットです。
| タイトル |
北斎でひもとく!浮世絵版画大百科 |
| 価格 |
350円(税込) |
| 形態/ページ数 |
A4サイズ 全8ページ |
| 発売日 |
2025年12月11日(木) |
| 販売場所 |
すみだ北斎美術館1階 ミュージアムショップ |
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