建築

設計コンセプト

  • 訪れる人が気軽に立ち寄ることができる、公園や地域と一体となった美術館です。大きな1棟ではなく、スリッ トによりゆるやかに分割された外観とすることで、周辺の下町市街地のスケールとの調和を図っています。
     建物全体をゆるやかに分割するスリットは、地上階部分ではアプローチの空間となっており、外部通路で結ばれています。建物全体に「裏」をつくらず、周辺地域のどこからでもアクセスすることができます。
  • 浮世絵作品の保存展示を考慮し、建物全体として閉じながらも、スリット部分からは館内の様子が伺え、地域の人々にとってすみだ北斎美術館が身近に感じられるものとなります。また、館内からも公園や周辺地域を眺めることができ、最上階からは東京スカイツリー®といった墨田の特色を眺めることができます。
  •  建物外壁は、淡い鏡面のアルミパネルを使用しています。建物外壁にやわらかく下町の風景が映り込み、周辺地域の風景に溶け込みます。また、ゆるやかに変化するヴォリュー ム は風景の映り込みをゆるやかに変化させ、見る角度によって表情の変化する外観となります。
 

建築概要

 すみだ北斎美術館は、自館所蔵作品だけでなく、国内外から作品を借入れ、多様な企画展示を行うために、脆弱な浮世絵作品の保存展示に適した機能・設備を備えています。
 また、文化庁が定める「文化財公開施設の計画に関する指針」に沿い、国宝や重要文化財といった国指定文化財を展示可能な美術館とします。

構造 鉄筋コンクリート造(一部鉄骨造)
地上4階 地下1階
建築面積 699.7㎡
延床面積 3,278.9㎡
高さ 21.9m

●各フロアの情報はフロアガイドページをご覧ください。フロアガイドページのリンク 
 

設計者

妹島和世

 1987年妹島和世建築設計事務所設立。
 1995年西沢立衛とともにSANAAを設立。
 2010年第12回ベネチアビエンナーレ国際建築展の総合ディレクターを務める。

主な受賞として日本建築学会賞*、ベネチアビエンナーレ国際建築展金獅子賞*(イタリア)、プリツカー賞*(アメリカ)、芸術文化勲章オフィシエ(フランス)、芸術選奨文部科学大臣賞*、村野藤吾賞など。 (*はSANAAとして受賞)

敷地案内

 すみだ北斎美術館の建築地には、江戸時代に弘前藩津軽家の大名屋敷がありました。藩主からの依頼により、北斎は屏風に馬の絵を描いて帰ったというエピソードが残されていることなどから、この場所は北斎とゆかりの深い土地であるといえます。
所在地:東京都墨田区亀沢二丁目7番2号 1,254.1㎡
敷地面積:1,254.1㎡